セブン-イレブンにおける惣菜の安全管理 (2022年6月3日)

斉藤俊二

株式会社セブン-イレブン・ジャパン
QC室 総括マネジャー
斉藤俊二


フレッシュフードの商品開発
 セブン-イレブンで販売している弁当・惣菜などのフレッシュフードは、つくりたての美味しさにこだわり、工場や配送センターなど、すべて独立したお取引先の高度な技術を活かすことで高品質かつ安定的な製造を実現しています。
 特に「豊かで便利な毎日」を暮らせるように、より良い商品をお届けする取り組みを進める中、社会構造の大きな変化に合わせ、惣菜の商品形態は大きく変化してきました。購入後すぐに食べる商品だけでなく、食べたい時に簡単に手間をかけず食べることができるパウチ惣菜や、冷凍食品、洗わずそのまま食べられるカット野菜など、豊富なメニューを品揃えしている他、食事の一品となる唐揚げやコロッケといった揚げ物は店内で調理し揚げたてを提供しております。
 また、2009年には食品ロス問題解決のために、美味しさをそのままに鮮度を延長する取組みを開始しました。例えばおかずと野菜を合わせた「食事サラダ」は、低温かつ短時間で行うとともに、ガス置換包装を採用することで品位を向上させ、2018年に販売期限を1日延長いたしました。さらに、プラスチックの蓋をフィルムに変更することで廃プラ削減にもつながっております。今後もこのような商品を拡大し環境に配慮した取組みを進めてまいります。

安全を担保する組織
 フレッシュフードの品質保証は、パートナーである食品メーカー様、フレッシュフード製造メーカー様が加盟している日本デリカフーズ協同組合(以下NDF)、セブン-イレブンQC室が相互に連携、協働することで成り立っています。
 ①食品メーカー様は、品質管理、品質保証を実践し、進化し続ける②NDFは、各社の共通課題を協働で解決③QC室は、品質方針の立案、推進、各社の連携・協働を推進、とそれぞれが役割を遂行することで、個社では実現できない強固な品質管理システムを実現しています。
 NDFは工場の品質管理・衛生管理レベルの向上を目的として、1979年に設立された組織です。相互扶助の精神に基づき、衛生基準を整え、生産技術・品質管理レベルに高める取り組みを進めてきました。現在、品質管理については「食品安全推進部会」「検査部会」「システム化推進部会」など合計10部会が常時運営され、毎月開催の品質保証会議にて、品質方針の共有と部会活動の進捗確認を行い、一貫性のある取組みを継続的におこなっています。更に、2019年から品質保証従事者のモチベーション向上、取組みの活性化を目的にNDF品質保証アワードを開催し、この場で共有される素晴らしい取組み事例が、品質管理体制の進化に貢献しています。

安全対策
 ご承知の通り弁当・惣菜などのフレッシュフードのように鮮度が短い食品は、一般的に食中毒リスクが高いと言われています。加工食品に比べ商品の改廃頻度が高く、使用する原材料の種類が多く、工場では多くの種類の商品を製造しているため、近年食の安全・安心を脅かすリスク要因が多様化している中、広範囲の食材に対する知見を有し、適切な対応がとれることが求められます。
 優先リスクへの対応の一例として、食物アレルギー事故防止への対応をご紹介します。1つ目は、正しい知識の習得です。有識者を招いての集合研修、eラーニングを活用し正しい知識の習得に努めています。2つ目に、製造現場でおきるヒューマンエラー起因によるラベル・包材の誤使用を防止するため、ラベル照合機の導入を推進しています。3つ目に、表示作成ミスを防止するため、表示作成業務のシステム化、食品表示検定受験を推進しています。併せてQC室では、これらの取組みを推進するとともに各製造工場について定期監査を実施しております。
 フレッシュフードに使用している食材は、日本のみならず多様な国から調達されています。世界の食品安全動向に目を光らせ、広い視野、高い視座からリスクを把握することがなにより重要と考えています。

未来への取組み
 製造現場の課題は、人に依存している業務を、設備や情報技術を積極的に活用し変化させることです。今、現場では、従業員の多様化が予想以上に進行しています。旧態依然の方法では、品質を管理することは困難であり、タブレット端末によるデジタル帳票の活用やラベル照合機の開発など情報技術を駆使し、働いている人々が、自らの仕事に誇りをもち、楽しく仕事ができ、人が協調する生産現場を目指していきます。
 また、消費者と当社の情報格差を埋めるべく2021年から、HPに安全・安心への取組みの掲載を開始し、SNSでも積極的に情報を発信しています。お客様の不安を解消し、少しでも安心に繋げられればと思っています。

 最後に、社会課題解決は、競争領域ではなく、協調領域と考えております。私たちは、食の安全の確保・安心を創出するため、今後についても積極的にコミュニケーションを行ってまいります。