食のリスクコミュニケーション・フォーラム2019
第4回:『食品衛生微生物のリスコミのあり方 ~消費者のリスクリテラシー向上をどう支援?』(10/27)開催速報

食のリスクコミュニケーション・フォーラム2019
『消費者市民の安全・安心につながる食のリスコミとは』
第4回テーマ:『食品衛生微生物のリスコミのあり方 ~消費者のリスクリテラシー向上をどう支援?』 (10/27)開催速報

【開催日程】2019年10月27日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主  催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【後  援】消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター
【協  賛】一般社団法人食品品質プロフェッショナルズ
【参加費】3,000円/回
     *SFSS会員、後援団体(先着1~2名程度)、メディア関係者(取材の場合)は参加費無料

3人の専門家より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対して活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~14:00 『微生物も一所懸命に生きている -もし貴方がO157だったら?』
        一色 賢司(日本食品分析センター)
14:00~15:00 『牛乳は冷蔵庫に入れたら安全か? -汚染菌の管理ポイント』
        上門 英明(株式会社明治)
15:00~15:20 休 憩
15:20~16:20  『食品のリスクマネージメントにおける課題~消費者意識との乖離やサスティナビリティ~』
        五十君 靜信(東京農業大学)
16:20~17:50 パネルディスカッション
         『食品衛生微生物のリスコミのあり方 ~消費者のリスクリテラシー向上をどう支援?』
        進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師・小出 薫(SFSS)
18:00~19:30 懇親会

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一色賢司先生

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上門英明先生

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五十君靜信先生

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*講演要旨ならびに講演レジュメは以下のとおりです:

①一色 賢司 (日本食品分析センター)
『微生物も一所懸命に生きている -もし貴方が O157 だったら?』

『 微生物も一所懸命に生きている -もし貴方が O157 だったら? 』 疫病神ではなく病原体が、多くの病気の原因であることが立証されたのは,ほんの 150 年前である。ウイルスは半生物であるが,病原体も生物として、たどり着いた所で懸命に生きている。人間の体内や体表にも無数の微生物が共生している。腸は O157 やノロウイルスの増殖の場でもある。病原体対策には消費者の自覚と自律が必要である。家庭内外の食育や学校教育は,食生活に役立っているのであろうか。カイワレ大根騒動では生食は嫌われリンゴも湯通しされたが、やがてユッケや浅漬けの食中毒が起きた。消費者に、O157 などになってサバイバルを考えて貰ってはいかがであろうか。孫氏は 2500 年も前に、「彼も知らず、己も知らずでは」と言っている。

一色先生講演レジュメ/PDF:2.58MB

②上門 英明 (株式会社明治)
『牛乳は冷蔵庫に入れたら安全か? -汚染菌の管理ポイント』

製造技術の進歩や徹底した品質管理によってチルド牛乳の微生物学的品質は向上しましたが、商品は無菌ではありません。一方、家庭内でも開封後に微生物が汚染する機会があります。例えば、開封口に口をつけて飲んだり、手が触れたりすると菌が入り込む可能性がある。冷蔵庫に保管すれば、菌は増えること ができず安全と言えるのか。低温でも増える菌が身の回りで増殖の機会を狙っているかもしれません。数式モデルによる開封後の腐敗日数を予測した事例を紹介しながら、微生物による腐敗のリスクと対応について考えてみたい。

上門先生講演レジュメ/PDF:2.44MB

③五十君 靜信 (東京農業大学)
『食品のリスクマネージメントにおける課題~消費者意識との乖離やサスティナビリティ~』

昨年6月に食品衛生法が改正され、2 年後の 2020 年 6 月には施行される。この改正により、国際整合性のある食品のリスクマネージメント手法が導入される。科学的根拠を求める国際整合性のある考え方に移行してゆくうえで、わが国にこれまで存在していた特有な食に関する考え方、食品を取り扱う企業側とそれを利用する消費書の間の意識の乖離について考えてみたい。特に海外では以前より重要視されているサスティナビリティについて、国内の消費者の認識は希薄であると思われる。

五十君先生講演レジュメ/PDF:306KB

*なお、写真・参加者アンケートの集計結果は後日掲載します。

(文責・写真撮影:miruhana)