第5号 2011.10/15

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     NPO食の安全と安心を科学する会 2011.10.15  第5号
          http://www.nposfss.com/
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東日本大震災で被災された皆様に心よりお見舞い申しあげます。
被災地の一日も早い復興を心から祈念いたします。

われわれNPOでも今般の大震災・福島原発事故に関わる食の安全と安心
の問題について議論を重ね、ホームページによる広報活動に努めております。

http://www.nposfss.com/

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少しずつ肌寒くなってきた今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
今年は3月に東日本大震災、また夏から秋にかけて巨大台風が猛威をふるう等、
記録的な自然災害を経験しました。
多くの被害を受けた方々には心よりお見舞い申し上げます。
自然の力は人間がコントロールしようではなく、どう付き合っていくかが
大切であると常々思っておりますが、リスクマネージメントの観点からも、
高い意識や深い知識を持つことが必要と常々痛感させられます。

さて、おかげさまでNPO「食の安全と安心を科学する会」の創刊第5号のメールマガジンを発信する
運びとなりました。

今回は、9/1-2に神戸で開催されました当NPO後援のシンポジウム
「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催、当NPO後援)のご報告、
また、本シンポジウムで発表した当NPO山崎理事長から「食の安全と安心の最適化への取り組み」のご報告、
最新の学術情報として、東京大学教授・農林水産省食料農業農村政策審議会家畜衛生部会委員 眞鍋 昇先生による
「牛乳の安全を保証する」を紹介します。

どうぞ御拝読ください。

NPO「食の安全と安心を科学する会」の活動状況をはじめ、皆様のお御役に立つ、
有益な情報をタイムリーに発信していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。

http://www.nposfss.com/


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【本日の内容】

◇「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催、当NPO後援)報告 

◇「食の安全と安心の最適化への取り組み」
~「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催、当NPO後援)より~
 NPO食の安全と安心を科学する会 理事長 山崎毅

◇「牛乳の安全を保証する」
 東京大学教授・農林水産省食料農業農村政策審議会家畜衛生部会委員 眞鍋 昇

◇NPO「食の安全と安心を科学する会」活動報告および今後の活動予定


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□■ 食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催、当NPO後援)報告 □■ 

2011年9月1日(木)~9月2日(金)、神戸市産業振興センター「ハーバーホール」にて、
神戸大学 食の安全・安心科学センターと東京大学 食の安全研究センターによる共同フォーラム 、
「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」が開催されました(当NPO後援)。
神戸大学大学院農学研究科と東京大学大学院農学生命科学研究科は、
食の安全、安心に係る課題について「農場から食卓」までを網羅する総合的なアプローチをもって取り組むため、
2006年、それぞれ「食の安全・安心科学センター」と「食の安全研究センター」を設立しました。
その両センター連携の先鞭として、このたび食品の機能性と安全性の評価、および食の「安全」から
「安心」に向けた取り組みについて、共同フォーラムが開催されました。
フォーラム第1日は、「食品の機能性と安全性」というタイトルで、市場に氾濫しつつある「健康食品」、
「機能性食品」の機能性、安全性を評価する指標、方法、新規科学技術等を現行の法律等の縛りも含めた
最新トピックについて、また第2日は「食の安全から安心へ」というタイトルで、科学的に安全と判断された
食品等を消費者に「安全だ」と認めていただけるための取り組みについて、産学官の各専門家による講演が
行われました。
当NPOの山崎毅理事長も第2日の演者として参加し、「食の安全と安心の最適化への取り組み」について発表しました。
当日は台風12号が関西地方直撃という悪天候にもかかわらず産学官の多くの専門家が参集し、
各方面から活発な議論が展開され、食の安全と安心への関心が高いことが伺われました。

神戸大学食の安全・安心科学センター・東京大学食の安全研究センター共同フォーラム
「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」
 日時;2011年9月1日(木)~9月2日(金)
 場所;神戸市産業振興センター「ハーバーホール」
 
主催
神戸大学大学院農学研究科食の安全・安心科学センター
東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター

後援
NPO食の安全と安心を科学する会、消費者庁、独立行政法人農林水産消費安全技術センター、
財団法人京都高度技術研究所、神戸市、公益財団法人神戸市産業振興財団、日本生活協同組合連合会、
内閣府食品安全委員会(順不同)

なお、当日の講演内容につきましては、下記サイトをご確認ください↓
http://www.research.kobe-u.ac.jp/ans-foodss/history/forum11.html


□■ 「食の安全と安心の最適化への取り組み」 □■
 NPO食の安全と安心を科学する会 理事長 山崎毅

■「食の安全と安心の最適化への取り組み」
~「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催、当NPO後援)より~

食の安全と安心を脅かす問題はとどまるところを知りません。想定外の自然の驚異と利潤を追求し続ける市場の中で、
あいまいな規制とあふれる科学情報に右往左往するマスコミと消費者。そんな状況で食品情報におびえる一般市民を
私は「フード・インフォマフィラキシー(食品情報過敏症)」と呼んでいます。
今回のフォーラムでは、飲食物の放射能汚染問題を例に、食のリスク情報に関して一般市民にバイアスが生じる原因が、
必要以上に厳しすぎる暫定規制値と現状の科学情報を誤って理解するマスコミにあると説明しました。
将来的にガンや先天異常が発生するかもしれないという「恐ろしさ因子」と「未知性因子」に満ちたリスク・イメージをマスコミに
植えつけられた一般市民は、どんなに少量の放射能汚染も容認しないくらい怖がっています。
しかし、実際今回の飲食物の放射能汚染レベルがどの程度健康影響があるかを定量的に比較分析すると、
図1のとおり、我々の身の回りに存在する発がんリスクと比べてはるかに低レベルであり、
出荷停止になった飲食物ですら人体への健康影響は全く心配する必要がなかったという
ことがよくわかります。もっと和牛を食べておけばよかった、と後悔していませんか?
食品安全委員会の放射線専門委員会でも、生涯被曝レベルとして100ミリシーベルト以下は健康影響がないと
最終的に結論づけました。
今回のような事故を教訓として、これから起こりうる食の安全と安心を脅かすものを「想定内」にできるような
リスク管理が求められます。そのためには、あいまいな科学情報を引き起こさないような先見性に満ちた
食の安全の研究推進と、今回のように食品の安全を脅かす問題が発生した際のリスクコミュニケーションの手法
(食の安心の研究)を確立しておくことが、「食の安全と安心の最適化」への道と考えられます。
その中で、NPOのような市民団体が、一般市民の立場にたった使命感をもつと同時に、科学者にも劣らない専門性を
もつことで、「食の安全と安心の最適化」に果たすべき社会的役割は大きいと考えており、消費者はもちろんのこと、
産官学にとっても非常に有益な事業活動が展開できるものと確信します。

なお、図1および図2につきましては、下記サイトをご確認ください↓
http://www.nposfss.com/cat7/post_7.html

□■ 牛乳の安全を保証する □■ 
東京大学教授・農林水産省食料農業農村政策審議会家畜衛生部会委員 眞鍋 昇

「牛乳は国産だ!」というテレビコマーシャルにあるように私たちが毎日飲んでいる牛乳は国内で生産されています。
牛乳は、国民の健康増進、特に赤ちゃんの成長と健康に欠かせない良質で重要な食品で、年間約850万トン生産
されている牛乳の半分は北海道で生産されていますがその大半はバターやチーズに加工され、毎日飲んでいる生乳
(年間約400万トン)の多くは東北圏と関東圏で生産されています。
草食動物の乳牛は、牧草だけだと毎日約50キロ、穀物を与える場合は毎日約10~20キロの牧草と
約5~10キロの穀物を食べて、約20~30キロの牛乳を生産します。今年3月の東日本大震災に起因する
福島第一原子力発電所事故のため、東北圏と関東圏の牧草が放射性核種で汚染されてしまいましたので、
安全な牛乳を生産できる飼料や飼養管理方法を具体的に示すために、福島第一原子力発電所から南西約130キロに
位置する東京大学農学生命科学研究科附属牧場では、牧草中の放射性核種の牛乳への移行を調べています。
放射性核種で汚染されてしまった牧草(汚染した生の牧草を乾燥させた後プラスチックフィルムでパッキングして
乳酸発酵させた飼料用ヘイレージ)だけで乳牛を飼育し、牧草に含まれる放射性核種がどの程度牛乳中に混入するのか
調べた結果、飼料汚染レベルが暫定基準値以下であれば牛乳中の放射性核種レベルは1ベクレル/kg以下に
保たれることが分かりました。さらに、汚染牧草の給与を止めた後、放射性核種を含まない飼料だけを与えると、
牛乳の放射性核種レベルは2週間以内に検出限界以下になることも確認できました。


□■ NPO「食の安全と安心を科学する会」活動報告および今後の活動予定  □■

【活動報告】

○2010年
12/10(金) 東京大学大学院農学生命科学研究科フードサイエンス棟竣工記念
 関連サテライトシンポジウム

詳細はこちら↓
http://nposfss-new.blogspot.com/2010/12/blog-post.html

○2011年
4/11(月) 小座談会『食の安全と安心フォーラム』 
シリーズ第1回 テーマ「飲食物の放射能汚染から考える食の安全と安心の
将来について」(於東大FS棟)

4/14(木) 同 シリーズ第2回(於SFSS関西事務所)

※今般の原発事故をうけて、緊急座談会『食の安全と安心フォーラム』を
4/11(東京)、4/14(大阪)で開催しました。

内容については、当NPOのホームページをご参照ください。
☆2011年5月2日 緊急座談会『食の安全と安心フォーラム第1回(4/11)』
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/05/1.html

また関係記事として、理事長雑感フ゛ロク゛もご参照ください。
☆2011年3月26日 飲食物の放射能汚染について(理事長雑感)
 http://nposfss-ty.blogspot.com/2011/03/blog-post_26.html

6/26(日)食の安全と安心フォーラム シリーズ第3回
 テーマ:昨今の食品問題から考える食の安全と安心の未来について
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/07/3.html

9/1(木)~2(金) シンポジウム「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催)
   (於神戸市産業振興センター「ハーバーホール」)
  当NPOが後援し、山崎理事長が「」について講演しました。
    

【今後の活動予定】
2012年1月(日程未定) 小座談会『食の安全と安心フォーラム』
   シリーズ第4回を開催(当NPO主催)(於東大FS棟) テーマ:未定 

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【賛助会員】
 ・株式会社OSGコーポレーション
 ・メロディアン株式会社
 ・株式会社シドミ
 ・株式会社蓬莱
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【編集後記】
NPO食の安全と安心を科学する会のメールマガジン第5号はいかがでしたでしょうか?
ご意見・ご感想などございましたら、下記メールアドレスにお願い致します。

当NPO食の安全と安心を科学する会の公式ホームページは、
8/23にリニューアルオープン致しましたが、
ご覧頂けましたでしょうか?

こちらのホームページでは、
当NPOのミッションと事業活動の概略他、研究中のテーマ、活動予定等を
積極的に公開していきますので、ぜひ定期的にアクセスして内容をご確認ください。

皆様のお役に立つ情報公開を目指していきますので、
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。


守山 治
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