AGRI FACT
(運営:株式会社 農業技術通信社)https://agrifact.jp/

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■科学的根拠だけでは埋まらない溝にどのように対応するか

AGRI FACTとは
 AGRI FACTは、グリホサートを中心とした残留農薬に関するファクトチェックや科学的根拠に基づく情報や、農業や食分野の根拠のない噂を検証・情報提供するウェブサイトです。当サイトでは、インターネットの世界を中心にはびこる科学的根拠がなく、事実とかい離する言説のファクトチェックや、専門家による科学に基づいた解説を掲載しています。これらの情報を継続して提供することは重要課題だと考えていますが、それと同時に、事実の伝達だけでは一般生活者の心に届かないということも痛感しています。

事実のみでは溝は埋まらない
 こちらの本意ではないにせよ、AGRI FACTが提供する科学的根拠に基づく情報を目にした残留農薬を不安に思う人々が、事実を突きつけられたことにより、彼らの心配ごとに取り合ってもらえない、思案を踏みにじられたと感じてしまっては両者の溝は深まるばかりです。

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一般生活者からの理解を得るための多角的なコンテンツ
 当サイトが実施するファクトチェックなどの取り組みについて、一般生活者から一定の理解を得るためには、多角的なコンテンツも取り入れる必要があると感じており、設立以降、思案しながら少しずつ取り組みを実施しています。具体例は以下の通りです。
(1)外部ライターによる"同じ目線"のコラム
 専門家ではなく、飲食店経営者やオーガニック関連団体に所属している「一般生活者に近いライター陣」に連載を依頼しました。彼らを取り巻く人々から寄せられた農薬に関する疑問や不安をすくい上げ、それに対するライター陣の違和感などを記すことで、幅広い読者からの共感を得られ、読者も執筆者と同じ視点で想像できるようになっていることが見受けられます。
(2)他団体との協働により幅広い専門情報を提供
 他団体のサイトに掲載されている記事を、許可を受け転載しています。一例として、NPO法人くらしとバイオプラザ21さまの「農薬」「添加物」「科学的な読み方と伝え方」シリーズを転載し、AGRI FACTではカバーしきれていない専門的な内容を補足・充実させ、読者が流入する入り口を増やしています。
(3)漫画は視野拡大の動機づくり
 科学的な解説は、一般生活者には、文字情報だと固く、難しいイメージを持たれがちです。そこで、漫画制作にも着手しました。漫画については、「解説し過ぎない」「一般生活者と同じ目線で考える」「専門家から見て説明不足な点は、参考資料で補足する」という点を意識して、かつて農薬について固定観念を持っていたイラストレーターの方に新鮮な目で制作していただいています。解説漫画ではなく、あくまでも何となく農薬を不安に思う読者が、新たな視点を発見・混乱し、そして、これまでの思考の傾向を見つめ直す「視野拡大を促すこと」が目的です。

望む世界を共有しファクトチェックの事由を示す
 多角的なコンテンツを充実させることは、当サイトが目指すものをきちんと読者に伝え、理解を促すことにもつながります。
 また、当サイトが科学的根拠に基づく専門家の解説や、意図的に流布された言説のファクトチェックを継続する目的についても明示することが大切だと考えています。現状では、農薬などに関する間違った言説が一般化されることにより、本来必要のない不安に惑わされている一般生活者や、不当な批判を受ける農業者や研究者、農業・食品関連事業者が存在しています。この理由で、当サイトは農業を取り巻く課題を見つめ、科学的に確かな知見を社会に提供することで農と食の分野での立場を超えたフェアなコミュニケーションを支え、農業分野のさらなる発展により、持続可能な食料生産の実現に貢献したいと考えています。近日中にリニューアルされる新サイトでは、このようなサイトの設立趣意も示し、ファクトチェックなどを通じてAGRI FACTが目指す世界を読者に共有します。