カルビー株式会社

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■真のお客様ファーストビジネスモデルへの転換
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 カルビーは製造業である。1袋100円(最近はそれ以下の特売も多いが)の商品を売って約2500憶円ほどの売上を作っている。当然のことであるが、その売上を作ってくれるのはお客様だ。だからカルビーの活動はお客様ファーストでなくてはならない。一方で企業にとって思考停止してしまう危険な言葉がいくつかあると考える。お客様ファーストもその1つだと思う。大儀としては申し分ないので、社内に伝達していく段階で、健全な意味でのコンフリクトが起きないのだ。
 ここ数年、お客様からいただいた"大切な声"を丁寧かつ執拗に社内へ伝達していく活動に集中してきた。その具体例をいくつか紹介したい。

デイリーメール

 日々150件程いただくお客様の声から数件をセレクトして、毎日全従業員へ配信する。声の選択は実際にお客様の電話を受けている担当者(コミュニケーター)が行っている。上長の事前チェックはなし! 政治も社内の事情も関係なし、お客様側に立ったフレッシュなセレクトだ。時には「売り込もうしている商品の悪い声は困る」「改善にコストがかかる、簡単に言うな」などの声もあがるが、おかまいなしにやっている。  最近では、味方も増えデイリーメールへのリアクションも昨比4倍と増えてきている。

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全工場での傾聴ミーティングの実施

 我々製造業の主役は、工場現場で働く人達だ。製品品質で苦労し、一番努力しているのも現場だ。しかし本社の相談室で受けているお客様の声はどうしても遠くなりがちだ。従って昨年から工場勤務の全従業員にむけ、お客様の声を傾聴する場を作った。24時間稼働の工場も多いので、1日3回のシフトにあわせミーティングを実施する。朝5時からのミーティングもある。全国12工場で約1700人の参加者があった。この発表もコミュニケーターが手分けし行った。これまでの相談室は、お客様から受電対応のみをしていたメンバーも多かったので、資料づくり・発表練習から行った。日々電話を受けている人間のほうが説得力を増すと考えたからだ。結果約97%の参加者から気づきがあったと回答を得ている。
 お客様の声の傾聴は、お客様ファーストビジネスへの転換のための全社的な意識付けとして大変重要な取り組みと位置付けている。そのため工場に先立ち、毎年社長はお客様相談室でお客様とコミュニケーターの会話をリアルタイムで約2時間傾聴すること率先して実施している。

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お客様の語り部たるコミュニケーターの育成

 相談室のコミュニケーターに求めるものは2つ、①お客様のお問い合わせや不安にすべて回答できる、一番カルビーを知っている人であること(生産ラインや販売もなんでも)②お客様の声を社内に確実に伝え、改善活動をリードできる人であることだ。実現の為に、週次ミーティングでの勉強会(商品やキャンペーン情報だけでなく、営業や物流の説明会もある)、イノベーション課題も全員が持っている。カルビーで推進している働き方改革、在宅勤務やフリーアドレスも実現した。
 そうして目指すものは唯1つ、「お客様対応品質で圧倒的No.1になり、お客様・得意先様から競合よりもカルビーを選んでいただけるビジネスにドライブする部署となる」である。