トリドールホールディングス

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食品安全管理部食品安全企画課
田代 翼




■当社のHACCPに沿った衛生管理の制度化への対応について

トリドールグループの特徴
 当グループは、「おもてなしの心」と「手づくり」「できたて」による食の感動を通じて"お客様と接する瞬間に、お客様のよろこびを最大化する"ことを追及し、Missionを"Finding New Value.Simply For Your Pleasure."としている外食チェーングループです。
 主力業態の丸亀製麺のほか、カフェ業態や居酒屋業態など、国内外に1,700店以上を展開、国内店舗では2万人以上の従事者が調理に従事しています。

外食チェーンの特徴
 多店舗展開する外食チェーンの多くは「パートアルバイトが主力」「常にオペレーション知識の未熟な新人がいる」「社員の人数が少ない」という現状です。
 そのため、店舗に対して新しい施策を導入する場合、"単純に"システムやツールを提供するということだけでは、店舗で実行されないだけでなく、従事者が混乱することにより、期待に対してマイナスの効果が発生する可能性があるという特徴を持っています。

HACCPに沿った衛生管理の制度化
 食品衛生法改正により、2020年6月から全ての食品事業者に次の事項が義務化されました。
 (1)衛生管理計画書の作成・運用
 (2)衛生管理に関する手順書の作成
 (3)衛生管理の実施状況の記録管理
 (4)衛生管理計画・衛生管理手順書の検証・見直し
 なお、飲食店営業施設では、提供食品が多種多様で変更も頻繁な業種として、厚生労働省が内容確認した「手引書」を参考に衛生管理を行うことができるため、当社は日本フードサービス協会が作成した「多店舗展開する外食事業者のための衛生管理計画作成の手引き」に基づく衛生管理計画書を2020年4月1日に完成させ、運用を開始しています。

衛生管理計画書の導入
 前述のとおり、外食チェーンではシステムの単純導入が難しいことがネックです。  衛生管理計画書の導入にあたり、当社はまずその1年前(2019年4月)から、それまで様々な様式で記録していた温度管理等の衛生管理の記録をひとつにまとめ、同時に、既存の店長が月一回店舗を確認・記録する仕組みにおける、衛生管理項目の内容を充実させました。  これにより店舗での「HACCPの記録管理」と「内部検証」の基本となる行動を、一年をかけて実施できるように促しました。

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 次に、衛生管理計画書の作成では、その各項目を、店舗の衛生管理記録および店長による月一回の確認事項(以下、「月次確認項目」という)、各種手順書等と密接に連携させることとしたのです。  例えば、当社の衛生管理計画書の「(食材の)洗浄殺菌」という項目には、その参照先として、月次確認項目のガイドの「重要管理点の対応・トレーニング」として、基準等を明記。一方、月次確認項目にも、それが衛生管理計画書のどの部分の確認をしているかをわかるようにしています。(※1)

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 この「衛生管理計画を普段の実施事項と密接にしている」って当然なのでは?と思われるかもしれません。  しかし、衛生管理計画書は従事者が普段利用するような資料ではないため、一方通行のリンクをするだけでは、資料として浮いた存在となってしまうと、当社は考えました。  そこで、各種手順からの逆リンクを組み合わせることで、少なくとも衛生管理計画書と実施事項が一体化しているという形(当社は実際に冊子としてそれらを一体化させています(※2))を従事者に見せ、店舗に身近なものとして認識させることとしました。

 この立て付けにより、保健所から店舗に衛生管理計画書の確認を受けた場合でも、店長は特別な説明を用意することなく、普段自分たちが実施している記録や資料から、その説明をすることが可能となります。

HACCP運用の今後
 HACCP制度化対応は一旦完了しましたが、各店舗での適切な運用の周知徹底はまだこれからで、ようやくスタートを切ることができたという認識です。
 本部として、これから継続して衛生管理計画・衛生管理手順書の検証・見直しをしなければなりません。

 そのために、社内での検討に加え、外部の知見を取り入れる努力をしています。

 例えば、当社では店舗に対して外部検査機関による衛生調査を実施しており、その評価項目と月次確認項目を一致させ、店長の衛生管理に対する目線合わせをしています。また、保健所等に衛生管理計画書の共有・説明を行い、意見交換等を実施するなどもしています。
 こうした外部コミュニケーションから、多様な視点を取り入れることで、HACCPに対する理解を深め、よりよい運用につなげていきたいと思っております。

 今後も、トリドールグループはお客様に安心と安全を感じていただく店舗づくりのため、現場の従事者に寄り添う姿勢を忘れず、また、社内外の関係者とコミュニケーションをとりながら、適切な衛生管理の設計・実施に努めてまいります。