食のグローバル化とHACCP

阿紀 雅敏 元カルビー株式会社上級常務執行役員/現在 烟台カルビー商貿有限公司 董事長
NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS) 理事
阿紀 雅敏

食物アレルギー

 安倍内閣が「農林水産物・食品の輸出額を2020年までに1兆円に拡大する」という方針を出している。人口減少の日本にあって輸出による農業革新 は大変重要な政策である。輸出との関連で国際的ルールであるHACCPの普及を促進するという方針が打ち出された。それでは輸出に関係ない農産加 工業者は関係ないかと言えば決してそうではないのである。
 図1に示すように海外から輸入される農産物、食品は年々増加している。これらは通関時に抜き取り検査が行われる。今後は、水際で抜き取り検査によ り安全を担保する方法からHACCPによる安全を担保する仕組みに変えようということである。既にEUは2006年から、米国は2016年から始 めている。輸入相手国にHACCPを要求するためには、貿易の原則として国内でもHACCPを導入しなくてはならない。農産物の輸出(攻め)が強調されてい るが"守り"のニーズが大きいのである。
 表1は輸入件数が多い上位5か国の検査率と違反率である。フランス、米国、中国、タイでもHACCPが導入されているが、それでもこのぐらいの違 反率である。HACCPを導入してもこの程度というか、これですんでいるというか判断に迷うところである。
 図2は違反の食品衛生法の条文別構成である。6条は穀物・ナッツ等のアフラトキシン、貝毒、穀物輸送中のカビなど、9条は野菜や加工品の成分規格 違反(残留農薬、大腸菌群陽性等、食品添加物の使用基準)である。HACCPを相手国に求めることで違反(特に6条)が減少することに期待した い。このような訳で国内の食品事業者に対してもHACCP義務化を推進しようとしているが、大手企業では既にHACCP導入率は80%、中小企業では 24%で、中小企業にとり導入は大変である。しかしこれを契機に品質向上、競争力向上を期待したい。