食の安全/安心分野におけるNPOの意義

局  博一 東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター特任教授
局 博一



食の安全/安心分野におけるNPOの意義

特定非営利活動法人(以下、NPO)の活動が活発であり、NPOは社会的構成要員として欠かせない存在となってきている。
我々に身近な「食の安全/安心問題は、言うまでもなく消費者(生活者)をはじめ現代社会の各層で大きな関心事となっており、この問題は将来も長く続くものと思われる。この課題に対しては、行政機関で行われる安全性評価と施策、研究機関(研究者)・食品会社・消費者団体による食品健康影響/効果のデータ収集・提示、商品情報の公表など様々な層で積極的に取り組まれている。そうした中で食の安全/安心分野におけるNPOの社会的役割を改めて考えることも有意義なことと思われる。NPOはそれぞれの団体によって、食育、食と農、健康食品、食の安全/安心といった具合に目的をもって活動している。
その中でも「食の安全/安心」というテーマは、理系的要素、医学的要素、社会心理的要素、経済・産業的要素など非常に幅広い領域を包含しているために、食の安全/安心をテーマに掲げるNPOの活動内容は自ずと幅広い範囲に及ばざるを得ない。むしろそのような多面的な役割が期待される。あるときは消費者の立場、あるときは食品事業者の立場、あるときは行政者の立場、そしてあるときは研究者の立場から視点を変えて様々な課題に取り組み、国民相互の理解を深めるための橋渡しになる存在であることが理想といえる。
したがってこのようなNPOは何か結論を導くような活動体である必要はなく、常に複眼的な視野で情報とコミュニケーションの場を公共に提供する立場であることが社会的役割としてもっとも望まれることだと考えられる。その意味では、「NPO食の安全と安心を科学する会」は今後も様々な分野の専門家とのチャネルを開拓し、多角的な視点が持てるハブ組織として機能し続けることが社会的要請に応える道のように思われる。