【食のリスクコミュニケーションフォーラムより】
食品添加物・保存料についての消費者意識とメーカーの取組み事例

荒井 祥 上野製薬株式会社 食品事業部 事業企画部 企画課
荒井 祥

食の安全において最も大きな課題の一つは、腐敗や食中毒の原因となる微生物の制御である。上野製薬㈱は食品工場の衛生化に役立つ資材・サービスを提供している企業であり、保存料等の食品添加物もその一つである。食品添加物は安全性が確認されており、特に保存料等については適切な使用が食品の安全性を高める。しかし、消費者は食品添加物に不安を感じていると言われている。

≪食品添加物への消費者意識≫

2013年7月に実施されたアンケートにおいて、「食品の安全性について不安に思うこと」の第1位が食品添加物であり、52.1%の消費者が不安に思っていることが示されていた(平成25年度第2回インターネット都政モニターアンケート結果より。回答者486名)。
ところが弊社が調査したところでは、食品購入時に食品添加物表示に注意する人は24%、食品添加物不使用の食品を意識して購入している人は22%、食品添加物について自分で情報を集めたことがある人は6%にとどまっている。日頃食品添加物に関する情報をどこで入手しているかを尋ねたところ、テレビ番組74%、新聞記事42%、インターネット上の掲示板やSNS 18%、健康食品の広告18%との結果だった。
食品添加物のリスク管理・評価に関して説明した後、この内容をご存知だったか尋ねたところ、「知っていた」とする人は4%だった。また、保存料の使用が食品の日持ちを向上させたり食中毒のリスクを低減することについては、「知っていた」とする人は8%だった。(以上はアミタ持続可能経済研究所との共同研究による。2009年実施、対象者400名)
消費者は食品添加物の安全性や有用性について理解した上で不安なのではなく、情報を得る機会が少なく正確な認知ができていないために、なんとなく不安になっているものと考えている。

≪上野製薬㈱の取組み事例≫

弊社では大別すると4つの取組みをしている。

①消費者への直接的情報提供・コミュニケーション
ウェブページ公開、パンフレット無料配布、意見交換会への出席など。http://www.ueno-fc.co.jp/foodsafety/をご参照いただきたい。

②報道への対応
誤った報道への意見提出など。筆者は個人的に食品安全情報ネットワーク(FSIN)にも参加しているので、こちらもご参照いただきたい。https://sites.google.com/site/fsinetwork/

③教育への対応
教科書・教諭向け指導書のチェックをして、出版社に面談を申し入れるなどしているが、なかなか会ってもらえない。
学校で使ってもらえる教材制作が目標だが、勝手がわからずなかなか進まない。

④表示への対応
「無添加」表示の中には、食品添加物表示の複雑さ、運用面での問題点を逆手に取ったものがある。消費者庁への意見提出などに努めている。

特に難しいのは教育への対応だと感じている。文部科学省が出している高等学校学習指導要領解説 家庭編に「食品の腐敗、食中毒、食品添加物などを理解させ、食品の鑑別が適切にできるようにする」という趣旨の一文が入っている。食品添加物が適切に使われた食品はむしろ安全である、という教育がされる日がいつかきて欲しい。