食のリスクコミュニケーション・フォーラム2016 (4回シリーズ) 第3回 開催速報

【テーマ】『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
【開催日程】2016年8月28日(日)13:00~17:50
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【主催】 NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)
【共催】 一般財団法人社会文化研究センター
【後援】 消費者庁、東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター
【参加費】 3,000円/回
     *後援団体関係者、SFSS会員、メディア関係者は参加費無料

3人の先生方より、それぞれのテーマに沿ったご講演をいただいた後、パネルディスカッションでは会場の参加者からのご質問に対してひとつずつ回答いただき、活発な意見交換がなされました。

【プログラム】

13:00~14:00 『機能性食品とどうつきあうか(消費者教育のあり方)』
          蒲生恵美(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS))
14:00~15:00 『食品事業者から見る安全とリスクに関するコミュニケーションのこれから』
          小出 薫(株式会社明治)
15:00~15:20 休憩
15:20~16:20 『リスコミの失敗を考える』
         竹田 宜人((独)製品評価技術基盤機構化学物質管理センター)
16:20~17:50 パネルディスカッション
        『消費者の食の安心につながるリスコミを議論する』
          進行:山崎 毅(SFSS)、パネラー:各講師
18:00~19:30 懇親会


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蒲生恵美先生


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小出薫先生


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竹田宜人先生


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*講演要旨は以下のとおりです:

① 蒲生恵美(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS))
『機能性食品とどうつきあうか(消費者教育のあり方)』

2015年度PIO-NET危害情報で、健康食品は10歳代~80歳代のすべての年代で上位10以内にランクインした。教育において健康食品のリスクを伝える難しさに、利用者の欲望がある。人間は対象への欲望が強いと、対象が抱えるリスクを低く認識すると同時に、対象がもたらしうるベネフィットを高く認識する傾向にある。健康食品を安全かつ適切に利用するには、健康食品の安全性と機能性を正しく理解することが必要だが、そのためにはどのようなアプローチが必要なのか。そもそも健康食品を食生活にいかに位置付けることが適当なのか。これらの課題について機能性表示食品制度を中心に検討する。
 <蒲生先生講演レジュメ/PDF1.2MB

② 小出 薫(株式会社明治)
『食品事業者から見る安全とリスクに関するコミュニケーションのこれから』

国内外でリスコミ像に少しずつ変容が。食品事業者にも行政との「対話」は勿論、消費者を含む他のステークホルダー(達)との目的も形も多様な対話機会が生じるだろう。古典的なリスコミの枠組みを超え、「安全とリスクに関する持続的なコミュニケーション」の場や「リスク教育」の必要性も議論されてきた。依然リスコミとの間に距離も在るが、食品事業者は実は、現実のHazard混入とその管理、低減の手段と可能性、さらに残存するリスクを良く知るステークホルダーでもある。一方国内社会は、話題となるリスクには厳しいシャットアウトを志向し、その状態に意外に安心している。事業者がリスクを語ることは、この国の適切なRisk Governanceの発展に、あるいはSustainable な生産と消費が行われる社会の形成にどの様に役立つのか、混乱を招くだけか?ご意見も伺いたく。
 <小出先生講演レジュメ/PDF1.07MB
 <小出先生講演資料/PDF1.34MB

③ 竹田 宜人((独)製品評価技術基盤機構化学物質管理センター)
『リスコミの失敗を考える』

今や、リスクコミュニケーションはリスクガバナンスにおいて重要なステップと認識され、意思決定プロセスの一つとして市民権を確立した。その結果、食品安全、防災、原子力、化学安全、医療など様々な分野でガイド、方針、あり方など、根拠とすべき考え方が文書化されている。それぞれの分野では、どんな指標でリスコミを評価し、その失敗の形をどのように描いているのだろうか?本講演では、リスコミの目的とその効果を測る指標について、参加者とのディスカッションを通じて考えていく。
 <竹田先生講演レジュメ/PDF450KB
 <竹田先生講演資料/PDF316KB


 <講演アンケート結果/PDF439KB

(文責:山崎 毅、写真撮影:miruhana)