食のリスクコミュニケーション・フォーラム 第1回 速報

テーマ:「食の安心につながるリスコミを議論する」

2014年4月20日(日)、東京大学農学部キャンパスにて標題のミニフォーラムが開催されました。
定員30名~40名のところ31名のご参加があり、リスコミ/食の安全・安心に関して3つのご講演(要約は後述)をいただいた後、パネルディスカッションでは会場からのご質問に各講師がお答えしました。

食のリスクコミュニケーション・フォーラム 第1回
テーマ:「食の安心につながるリスコミを議論する」

【開催日程】2014年4月20日(日)13:00~17:40
【開催場所】東京大学農学部フードサイエンス棟 中島董一郎記念ホール
【共催】NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)、一般財団法人社会文化研究センター
【後援】東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター、一般社団法人品質と安全文化フォーラム
【参加費】3,000円/回

【プログラム】

13:00~13:10 『開会のご挨拶』 吉井 正武(一般財団法人社会文化研究センター常務理事)

13:10~14:00 『食品成分自体の健康リスクを検証』 山﨑 毅(SFSS理事長)

14:00~15:00 『食品の安心と不安をどうとらえるか』 髙橋 梯二(東京大学非常勤講師)

15:20~16:20 『リスクに正面から向き合うには』 岸本 充生(東京大学公共政策大学院特任教授)

16:20~17:40 パネルディスカッション(質疑が続く場合、最大18:00まで延長)


*各講師の講演要旨は以下のとおり:


① 『食品成分自体の健康リスクを検証』 山﨑 毅(SFSS理事長)

 食の安全・安心を語る際に、合成の食品添加物がよく議論の対象となるが、実際は天然の食品成分自体が生活習慣病などヒトの健康に悪影響を及ぼすことが多い。もちろん食品の栄養バランスがその主原因だが、加工食品中の特定成分(トランス脂肪酸、アクリルアミド、フランなど)も、内閣府食品安全委員会のリスク評価の対象となってきた。これらの健康リスクが実際どの程度かを検証し、そのリスク情報をどう伝えていけば消費者の不安を煽らないか、について議論したい。


② 『食品の安心と不安をどうとらえるか』 髙橋 梯二(東京大学非常勤講師)

 食品に関連して日本では、「安全」と「安心」が併存しているが、安心について関係者間で見解の違いが大きく、消費者と事業者・行政との間での食品の安全に関する認識の違いが縮まらない。したがって、リスク分析、WTO、コーデックスにおける安心の取り扱い、日本社会と欧米における安心の思想の比較など多角的な方向からの検討を行い、食品の安全を確保し、消費者の不安を取り除いていく上で、「安心」をどのように理解し、捉えていくべきかを検討する。その上で、リスクをゼロにすることができないリスク社会における対応のあり方を模索する。


③ 『リスクに正面から向き合うには』 岸本 充生(東京大学公共政策大学院特任教授)

 リスクコミュニケーションの議論において、「リスク」部分が無視あるいは軽視され、「コミュニケーション」部分に偏る傾向がある。安全を、リスク概念を使わずに説明していることは、安全を結果で判断する、民間認証が根付かない、手続きへの軽視などにつながり、社会のリスクを最小化することや責任あるイノベーションにはつながらない。講演では、リスクに正面から向き合うためのリスクコミュニケーションの戦略について、それが可能か、そして可能だとしたらどのように実施すればよいのか、について思うところを述べ、議論を行いたい。


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吉井 正武(一般財団法人社会文化研究センター常務理事)

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山﨑 毅(SFSS理事長)

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髙橋 梯二(東京大学非常勤講師)

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岸本 充生(東京大学公共政策大学院特任教授)

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