食のリスクコミュニケーション・フォーラム 第3回 速報

テーマ:「食の安心につながるリスコミを議論する」

2014年8月31日(日)、東京大学農学部中島董一郎記念ホールにて
「食のリスクコミュニケーション・フォーラム2014
食の安心につながるリスコミを議論する"@東大農学部」
4回シリーズの第3回が開催されました。

3人の専門家の方からのリスコミに関するご講演の後、
活発な意見交換が展開され、非常に有意義なフォーラムとなりました。


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関崎 勉 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター センター長・教授)

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北野 大(淑徳大学人文学部 教授)

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細野 ひろみ(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)

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13:00~14:00 『食中毒予防のリスコミ:一般消費者には専門書を読むほど難解か?』
      関崎 勉 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター センター長・教授)

14:00~15:00 『安全・安心とリスクコミュニケーション』
      北野 大(淑徳大学人文学部 教授)

15:00~15:10 北野先生ご講演に対する質疑応答

15:30~16:30 『放射能汚染と消費者意識 ~震災後3年の変化』
      細野 ひろみ(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)

16:30~17:50 パネルディスカッション
      (パネラー:関崎先生、細野先生、進行:山崎)


① 『食中毒予防のリスコミ:一般消費者には専門書を読むほど難解か?』
    関崎 勉 (東京大学大学院農学生命科学研究科附属食の安全研究センター センター長・教授)

 「ご飯の前に手を洗いましょう。」「何故?」「手にはばい菌がついているからです。」 これは、食中毒防止の基本的なリスクコミュニケーションで、恐らく昭和以前から交わされてきた会話である。しかし昨今、ユッケ食中毒に端を発した牛肉・レバーの生食企画基準設定とそれに対する一般消費者からの賛否両論入り交じる議論を見ると、食中毒のリスクコミュニケーションはそんな単純な会話では伝わらなくなったと感じる。専門家には当たり前のように認識されている食中毒予防の心得を、細かく丁寧に伝えれば、一般消費者は自身で行動できるのか、それとも一般消費者に基本的な事柄を伝えることすら不可能なのか、演者のこれまでの活動を振り返って議論してみたい。


② 『安全・安心とリスクコミュニケーション』
    北野 大 (淑徳大学人文学部 教授)

 20世紀は安全を求めた世紀であったが、21世紀は安全・安心な世紀にすることが望まれている。安全はその時点における科学技術に裏付けられた客観的事実であるのに対し、安心は自らの理解と納得に基づく主観的な事実である。 この安全と安心の橋渡しをするのがリスクコミュニケーションともいえる。本講演では安全学の考え方と最近の事故例について、次にリスクコミュニケーションの概要及び化学物質や食の安全に係るリスクコミュニケーションの場での質疑応答例などを受講者とともに考えていきたい。


③ 『放射能汚染と消費者意識~震災後3年 の変化』
    細野 ひろみ(東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授)

 東日本大震災から3年 が経過し、首都圏に住む私たちの生活はほぼ日常を取り戻している。被災地では、人々の生活を取り戻すべく懸命の努力が続けられているが、 原子力発電所の事故は収束に至っておらず、地域の復興と食品や環境中の放射能汚染については今後も長く我々日本人が考えていかなくてはな らない課題である。本報告では、震災発生後に実施された食品の放射能汚染をめぐる消費者調査を振り返り、私たちはどのような食と農を望んでいるのか、そのためにフードシステムの各主体は何をすべきか、考えてみたい。



(文責:山崎 毅)