SDGsについて (2018年2月15日)

阿紀雅敏

SFSS副理事長・元カルビー(株)上級常務執行役員
阿紀雅敏



 1月21日に「食品ロス」をテーマとしたフォーラムを開催しました。詳しくはSFSSのWEBで講演要旨をご覧になれます。今回ご講演いただいた先生方がSDGsとの関連で言及されていましたのでSDGsについての気づきを報告させていただきます。

1)SDGsとは
 2015年9月に国連サミットで制定された先進国を含む2030年までの持続可能な開発目標のことで17の目標が掲げられている。食品ロスはNo12の「つくる責任 つかう責任」に紐づけられている。詳しくは外務省ホームページを参照されたい。日本ではまだ認知度は低いがこれから2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて急速に広がっていくと考える。

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2)2020年東京オリンピック・パラリンピック
 2020東京大会の食材調達基準がHACCPやGAP認証された食材になると言われているが、農産品の基本的な考え方は①食品安全②環境保全③労働安全④人権保護ができていることが条件になっておりSDGsの考え方に沿っている。農産関係ではGAP認証ということになるが、都道府県や認証団体でレベル感が異なるようである。現在「飲食提供に関する基本戦略」が2018年3月頃の公表を目途に検討されている。
 またロンドンオリンピックでは「食品ロス削減」が出来なかったので、東京大会では「食品ロス削減」をレガシーにしようという動きもあり、大会に食材を提供するかどうかと関係無く国民的運動になるかもしれない。全ての食品事業者は「食品ロス削減」を念頭においたほうが良い。

3)新たなリスクコミュニケーション?
 隣国のように経済の量的拡大が期待できない我が国では東京オリンピック・パラリンピックを契機に和食文化だけではなく「お・も・て・な・し」や「もったいない」のような日本文化と一体になった質的コンセプトをアピールするようになりそうである。
 また日本国内での食材調達は②環境保全③労働安全④人権保護などは一見関係無さそうに見えるが、加工食品の原材料を海外から調達している企業では相手国の②環境保全③労働安全④人権保護にも目を配らなければならない。様々なNPOのSNSによる拡散のリスクがある。原材料メーカー、商社をとおしてSDGsに関連する情報を入手しておいたほうが良い。
 SDGsのNo12(作る責任つかう責任)の他にNo15(陸の豊かさを守ろう)、No14(海の豊かさを守ろう)、No13(気候変動に具体的対策を)などは日本の食品事業者と関連が深いテーマである。従来の品質・コスト・供給の視点に加えてSDGsを自社事業に"翻訳"してみられると良いのではないかと考える。