第10号 2012.7/13

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       NPO食の安全と安心を科学する会 2012.7.13 第10号
                 http://www.nposfss.com/
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暑い日が続いておりますが皆様いかがお過ごしでしょうか?
梅雨明け宣言もまもなくだとは思いますが、本格的な夏到来もまもなくという感じですね。


さて、前回のメルマガ9号でもお知らせしましたが、
7/21(土)に福島県で開催される「ふくしま再興フォーラム」(当NPOと福島中央テレビ共催)と
7/28(土)に東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホールで開催される
食の安全と安心フォーラムV 「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」
(当NPO主催、東京大学食の安全研究センター後援)が近づいてまいりました。

「ふくしま再興フォーラム」は、福島県の復興支援の一環として、
当NPOと福島中央テレビが企画する福島の食の安全確保について考えるフォーラムです。
また、食の安全と安心フォーラムV(東京大学食の安全研究センター後援)では、
今回のタイトルを「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」に設定し、
服部栄養専門学校 服部幸應校長や、食中毒・生レバー規制でメディアに多数登場されております
東京大学食の安全研究センター長 関崎勉教授をはじめとする当NPOが厳選した講師陣を迎え、
食育や食の安全性と機能性について幅広く活発な議論を展開する予定です。

いずれのフォーラムも参加人数に限りがありますので、早めのお申込みをお奨めいたします。
なお、詳細と参加申込みにつきましては、以下内容をご覧ください。

また今回のメルマガでは、最新の学術情報として、
東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター 特任准教授 古川 雅一先生による
「情報と消費者のリスク判断」、企業の食への取り組みとして、株式会社シドミの活動を紹介します。

どうぞ御拝読ください。

NPO「食の安全と安心を科学する会」の活動状況をはじめ、皆様のお御役に立つ、
有益な情報をタイムリーに発信していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。

http://www.nposfss.com/

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【本日の内容】
◇シンポジウム案内①
ふくしま再興フォーラム
 「食の安全は守られているか」
 ~福島における安全確保の取り組み~

◇シンポジウム案内②
食の安全と安心フォーラムV(後援: 東京大学食の安全研究センター)
 「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」

◇情報と消費者のリスク判断
東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター
 特任准教授 古川 雅一

◇企業の食への取り組み
 株式会社シドミ

◇NPO「食の安全と安心を科学する会」活動報告および今後の活動予定


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□■ シンポジウム案内① □■

ふくしま再興フォーラム
 「食の安全は守られているか」
 ~福島における安全確保の取り組み~

開催概要
【日時】 2012年7月21日(土)13:30開場/14:00開演(16:30終了)
【場所】 郡山市中央図書館視聴覚ホール
【定員】 250人 (無料)

開催内容

食品の放射能基準が厳しくなる中で、福島県内では、県産農産物が店頭に戻りつつあります。福島で作られている農作物は、今どんな状況にあるのか、安全で安心できる作物生産への取り組みはどう進められているのか。
放射性物質の移行の状況や、今後の対策などに取り組む専門家の最新の活動と、県内の取組みの一例を紹介しながら、福島の食の安全確保について考えます。

【パネラー】
東京大学大学院農学生命科学研究科
・中西友子教授 (大学としての取組み全般)
・真鍋 昇教授 (乳牛、豚などの畜産についての調査と対策)
・田野井慶太朗准教授 (イネ、果樹などへの移行実態と対策)

【コーディネーター】
NPO法人・食の安全と安心を科学する会理事長 山崎 毅

東京大学大学院農学生命科学研究科では、福島県や福島大学などの協力を得ながら、稲や果樹などの作物、その土壌、畜産、水産など幅広い分野で、原発災害の影響を調べ、その対策を立てる活動を行っています。

このフォーラムでは、その活動の一端を紹介し、生産現場からみた福島の食の安全確保の取組みについてお伝えします。

※福島中央テレビが取材し、ゴジてれChu!で放送した映像を、当日ご覧いただきます。


詳細、応募方法につきましては、福島中央テレビホームページをご確認ください。

http://www.fct.co.jp/tsunagaro/f_saikoforum/

 

□■ シンポジウム案内② □■

☆当NPO主催(後援: 東京大学食の安全研究センター)、シンポジウムを開催します!
(服部栄養専門学校 服部幸應校長講演予定)

来る7月28日(土)、NPO食の安全と安心を科学する会主催
(後援: 東京大学食の安全研究センター)『食の安全と安心フォーラムV』を
東京大学大学院農学生命科学研究科キャンパス(文京区弥生1-1-1 地下鉄東京メトロ南北線東大前 徒歩2分)
フードサイエンス棟内・中島董一郎記念ホールにて開催致します。

今回は、「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」と題し、
服部栄養専門学校 服部幸應校長をはじめとする当NPOが厳選した講師陣を迎え、
食育や食の安全性と機能性について幅広く活発な議論を展開する予定です。

皆様にとって、必ずや有意義なシンポジウムになることと確信しております。
この機会をお見逃しなく、是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。


食の安全と安心フォーラムV
 「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」

日時: 2012年7月28日(土)10:00~17:00
場所: 東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
            (地下鉄東京メトロ南北線東大前 徒歩2分)
主催: NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)
後援: 東京大学食の安全研究センター

10:00 食の安全を安心に変える学術啓発活動とは?
     NPO食の安全と安心を科学する会 理事長 山崎 毅

10:30 食のリスクに対する消費者意識
     東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授 細野ひろみ

11:00 食品ラベル情報が消費者行動に与える影響
     東京大学食の安全研究センター 特任准教授 古川 雅一

 11:30 食品の汚染カビをめぐる危害と安心・安全
      国立医薬品食品衛生研究所 客員研究員 高橋治男

 12:00 ランチ(フードサイエンスカフェのヘルシー弁当)

 13:00  食育の現在・過去・未来
      服部学園理事長、服部栄養専門学校校長 服部幸應


 14:15 生食について考える。食中毒対策への提言
      東京大学食の安全研究センター長・教授 関崎  勉

 14:55 コーヒーブレイク

 15:10 最近の食物アレルギーの実態と対策、および花粉症との交差問題について
      京都大学 名誉教授 小川  正

 15:40 食品の機能性評価の新展開
      神戸大学食の安全・安心科学センター長・教授  大澤 朗

 16:20 疲労・抑うつと食との関連、抗疲労トクホに向けて
      関西福祉科学大学教授、東京大学食の安全研究センター特任教授 倉恒 弘彦

 17:00 閉会


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参加費 3,000円(抄録集に加えて、フードサイエンスカフェのお弁当+ドリンクがつきます)
*参加費は、当日現金にて承ります。一般市民の皆様も聴講できますが、小学生以下の入場はお断りします。

当日も参加登録を受け付けますが、満席になりましたら入場をお断りする場合がありますので、
以下の事前登録を推奨します(会場は100名収容可能)
事前登録締切日 : 平成24年7月25日(水)

【当NPOホームページからの事前登録】
当NPOのホームページの申込フォームから受け付けます。
下記、URLよりお申し込み下さい。
http://www.nposfss.com/form_forum5.html

【FAX・メールによる事前登録】
FAX・メールでも受け付けをしております(FAX:06-6227-8540、メール:nposfss@gmail.com
件名に「7/28参加希望」と記入いただき、本文に参加される方全員の氏名ならびに
連絡先(電話番号のみも可)をご記入下さい。

事前登録を受け付けましたら、入場整理券番号をFAXかメールで返信いたします。
ご不明の点がございましたら、当NPO関西事務局までお問い合わせください。
TEL:06-6227-8550

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□■ 情報と消費者のリスク判断 □■
東京大学大学院農学生命科学研究科食の安全研究センター
 特任准教授
古川 雅一

 食の安全性を脅かす事件・事故が起こると、多くの人は消費行動を大きく変化させます。その変化は科学的な安全性と連動しないことも多く、消費者は関連する食品の消費を過度に控えることも珍しくありません。また、この消費行動の変化は、安全性が確保される体制が再構築された後も続くことがあります。では、消費者は食の安全性、言い換えれば、事件・事故に遭うリスクをどのように判断しているのでしょうか。
ここで、まず「自分の家が泥棒の被害に遭う確率」について考えてみてください。その予想確率には個人差があるでしょう。確率を高く推定する人もいれば、小さく推定する人もいます。ただ、後者、すなわち自分の家には泥棒はまず入らないだろうと楽観的に考えている人でも、その予想確率を高く変化させる場合があります。それは、隣人や友人といった身近な人が泥棒の被害に遭った場合などです。
実は、人が物事の起こる頻度や確率を予想する際、「利用可能性ヒューリスティック」が働きます。ヒューリスティックとは、物事を判断するとき、しばしば正しい推論の過程を省略して直感でその解を導き出そうとする方法のことです。その中でも、事例や発生の思いつきやすさの影響を受けて頻度や確率を推定することを利用可能性ヒューリスティックといいます。ヒューリスティックがある程度合理的だといえるのは、その判断が統計データや確率計算など、客観的な事実から乖離していない場合です。もし、その乖離が大きい場合、誤った判断を下してしまうのです。ヒューリスティックによる判断が、客観的で正しいものとは隔たってしまうことをヒューリスティックバイアスといいます。食の安全性を脅かすような事件・事故が起こった後は、そのニュースが繰り返し流れます。その結果、消費者は事件・事故を思いつきやすくなり、バイアスが生じるのです。
ただ、このことは逆のケースもあり得ることを意味します。つまり、事件・事故の起こる確率予想の低減につながる「利用可能性」情報を消費者が豊富に得た場合、食に対する安心感を抱くようになります。もちろん、食の安全性が実際にも保たれていることが前提です。
このように、利用可能性ヒューリスティックは安心感に対してプラスに働く場合もあればマイナスに働く場合もあります。よって、安全性と安心感の乖離を減らすために、消費者が情報の「利用可能性」を適切に保てるような仕組みが重要であり、それを構築することが社会に求められています。

□■ 企業の食への取り組み □■
株式会社シドミ

■人との出会いを大事に生かすことから生まれたFOOD SCIENCE CAFE
このカフェがオープンしたのは2012年3月8日。東日本大震災の影響で、食の安全基準がとりわけ厳しくなった頃、東京大学弥生キャンパス農学部3号館の後方に控えるフードサイエンス棟の玄関口にシンプルでスマートなカフェが現れました。食の安全と安心を研究する食の安全研究センター棟に存在するカフェが、どんなコンセプトで科学されているのかを運営する株式会社シドミ代表の西尾成喜さんにお話しを伺いました。人にとって大事なことを食で表現したい。毎日の忙しい生活の中で、気がつけば健康になっていたり、気がつけば素敵な出会いが生まれていたという場所でありたいと爽やかに語るそのコンセプトは、カフェのメニューにしっかりサイエンスされていました。

≪食を通じた笑顔が広がるカフェを目指して≫
大阪の企業ですから美味しいは当たり前で、面白いメニューづくりで気軽にコミュニケーションが取れる演出にしたいと思ったそうです。

例えば「TBカレー」って何ですか?と質問してほしいと言うメニューには、秘めたレシピのストーリーがありました。表面にキズが入り商品として出荷されない和歌山の名産品、富有柿を地元の保育園・小学校の給食に還元できれば、地域活性ができるのではないかという栄養士のアイデアから柿のレシピを考えることになりました。アレルギー対応の小麦粉に代わる素材としての柿の効果は、柿シブタンニンが血圧を抑制する作用やアルコールを分解する酵素が働き、二日酔いにも効果を発揮することを知りました。カレールゥのスパイスは、新陳代謝を促し脳の血流も良くしてくれる周知の効果を組み合わせて定番メニューにしたいと現在研究中だそうです。そこには、和食給食でアトピーの子どもの体質改善に力を注いでいる栄養士の指導がありました。良い人の繋がりを深めていくことで、新しいものが生み出されていくことが楽しいと語ります。健康を考えた食材を東大の研究室でエビデンスをしっかり取りメニュー化する。気軽さと安心を備えたカフェ。手軽で美味しいコーヒーとメニューの一つである「SPドーナツ」は、ぬか・きなこ・ごまを使ったドーナツだそうです。好きで食べたものが、気が付いたら体にいいものだったという感じにしたいというのは、家族の食卓を囲んだ経験が少なかった西尾さんの幼い思い出と学生時代に塾で英語の講師をしていた頃、子どもとの出会いによってなぜ?なに?の先にあった食を通じた活動が、今学生の食の文化を生み出そうとするFOOD SCIENCE CAFEとなって動き出そうとしています。学生たちや研究者、企業人とさまざまにコミュニケーションが生まれるカフェ。近い将来、アジアの食を語る場所として、外国からの学生で溢れ、それぞれの国のレシピのエビデンスメニューを開発しているかもしれません。

インタビュー聞き手:芦内裕実


□■ NPO「食の安全と安心を科学する会の今後の活動予定および活動報告  □■


【今後の活動予定】
○2012年
7/21(土)ふくしま再興フォーラム
「食の安全は守られているか」
  ~福島における安全確保の取り組み~


7/28(土)食の安全と安心フォーラムV
 「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」
場所: 東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
           (地下鉄東京メトロ南北線東大前 徒歩2分)
主催: NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)
後援: 東京大学食の安全研究センター

9/20(木)~21(金)
東京大学食の安全研究センター/神戸大学食の安全・安心科学センター共同開催フォーラム
「日本の食の安全を考える」
会場: 東京大学農学部弥生講堂・一条ホール
後援: NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)


【活動報告】
○2010年
12/10(金) 東京大学大学院農学生命科学研究科フードサイエンス棟竣工記念
 関連サテライトシンポジウム
詳細はこちら→ http://www.nposfss.com/cat1/0.html

○2011年
4/11(月) 小座談会『食の安全と安心フォーラム』
シリーズ第1回 テーマ「飲食物の放射能汚染から考える食の安全と安心の
将来について」(於東大FS棟)

4/14(木) 同 シリーズ第2回(於SFSS関西事務所)

※今般の原発事故をうけて、緊急座談会『食の安全と安心フォーラム』を
4/11(東京)、4/14(大阪)で開催しました。

内容については、当NPOのホームページをご参照ください。
☆2011年5月2日 緊急座談会『食の安全と安心フォーラム第1回(4/11)』
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/05/1.html

また関係記事として、理事長雑感ブログもご参照ください。
☆2011年3月26日 飲食物の放射能汚染について(理事長雑感)
 http://nposfss-ty.blogspot.com/2011/03/blog-post_26.html

6/26(日)食の安全と安心フォーラム シリーズ第3回
 テーマ:昨今の食品問題から考える食の安全と安心の未来について
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/07/3.html

9/1(木)~2(金) シンポジウム「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催)
   (於神戸市産業振興センター「ハーバーホール」)
  当NPOが後援し、山崎理事長が「食の安全と安心の最適化への取り組み」について講演しました。

内容については、当NPOのホームページをご参照ください。↓
http://www.nposfss.com/cat9/1.html
http://www.nposfss.com/cat1/4.html

○2012年
1/29(日) 一般公開シンポジウム(当NPO主催)
「食の安全と安心フォーラムⅣ ~食の放射能汚染と健康影響について科学する~」


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【賛助会員】
 ・株式会社OSGコーポレーション
 ・メロディアン株式会社
 ・株式会社シドミ
 ・株式会社蓬莱
   ・旭松食品株式会社
 ・株式会社バイオプログレス
   ・キユーピー株式会社
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【編集後記】
NPO食の安全と安心を科学する会のメールマガジン第10号はいかがでしたでしょうか?
ご意見・ご感想などございましたら、下記メールアドレスにお願い致します。

もうすぐロンドンオリンピックが始まります。
オリンピックは、4年に1度のスポーツの祭典ですから、
本当の努力をした人と勝つ運を持った人が頂点を極めると思います。
私も日本人選手の活躍や最高峰の戦いを、思う存分、楽しみたいと思っています。
皆様も暑い夏を有意義にお過ごしください。

当NPO食の安全と安心を科学する会の公式ホームページを随時更新しています。
今後も、当NPOの活動報告や予定等を積極的に公開していきますので、
ぜひ定期的にアクセスして内容をご確認ください。

皆様のお役に立つ情報公開を目指していきますので、
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

守山 治
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