第16号 2013.10/4

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       NPO食の安全と安心を科学する会 2013.10.4 第16号
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この前まで猛暑日が続いたかと思えば、確かな秋を感じる10月となりました。
とはいえ、この時期は温度変化に幅があり、体調を崩す方も多いようですので、
皆様お体ご自愛ください。

さて、今回のメールマガジンでは、
10月29日(火)東京大学農学部キャンパス中島董一郎記念ホールにて開催予定の
当NPO主催シンポジウム 食育シンポジウム 『減塩と健康』のご案内
(後援・協賛:東京大学大学院農学生命科学研究科附属 食の安全研究センター、旭松食品株式会社)、
最新の学術情報として、NPO法人 食の安全と安心を科学する会理事、
京都大学名誉教授  小川 正先生による
「食物アレルギーの発症リスク低減化対策とアレルゲン低減化食品の開発」、
東京大学特任准教授  古川雅一先生による
「人間のリスク回避性向は、局面によって変化する」、
を紹介します。

どうぞ御拝読ください。

NPO「食の安全と安心を科学する会」の活動状況をはじめ、皆様のお御役に立つ、
有益な情報をタイムリーに発信していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。

http://www.nposfss.com/

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【本日の内容】
◇シンポジウム案内
食育シンポジウム 『減塩と健康』(10/29)
主催:NPO食の安全と安心を科学する会
後援・協賛:東京大学大学院農学生命科学研究科附属 食の安全研究センター、旭松食品株式会社

◇食物アレルギーの発症リスク低減化対策とアレルゲン低減化食品の開発
NPO法人 食の安全と安心を科学する会理事
京都大学名誉教授  小川 正

◇人間のリスク回避性向は、局面によって変化する
東京大学特任准教授  古川雅一

◇NPO「食の安全と安心を科学する会」活動報告および今後の活動予定

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□■ シンポジウム案内 □■
□■ 当NPO主催 シンポジウムを開催します!  □■

食育シンポジウム『減塩と健康』

主 催:NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)
後援・協賛:東京大学大学院農学生命科学研究科附属 食の安全研究センター、旭松食品株式会社

日時:10月29日(火)10:50~15:00
場所:東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1
 http://www.a.u-tokyo.ac.jp/campus/overview.html
参加費:3,000円(抄録集と、お弁当代を含む)
※定員100名(当日参加も受け付けますが、満席の場合はお断りをする場合がありますので、事前登録を推奨いたします)
※小学生以下の入場はお断りいたします。

 食育シンポジウム『減塩と健康』事前参加登録フォーム
  http://www.nposfss.com/cat2/post_48.html

□FAX・メールによる事前登録
 FAX・メールでも受け付けをしております(FAX:06-6227-8540、メール:nposfss@gmail.com)
 件名に「10/29参加希望」と記入いただき、本文に参加される方全員の氏名ならびに連絡先(電話番号のみも可)をご記入
 ください。
 事前登録を受け付けましたら、入場整理番号をFAXかメールで返信いたします。
 ご不明の点がございましたら、下記の当NPO関西事務局までお問い合わせください。

 関西事務局:〒541-0041 大阪府大阪市中央区北浜1-1-9 ハウザービル3F TEL:06-6227-8550 FAX:06-6227-8540

10:50~11:00     「オーバービュー:減塩と健康」
          局 博一(東京大学大学院農学生命科学研究科附属 食の安全研究センター 特任教授)

11:00~12:00     「食育:減塩の大切さ」
          服部幸應(学校法人服部学園 理事長、医学博士・校長、健康大使)

12:00~13:30      ランチタイム
          「凍り豆腐と新規大豆食品を使用した減塩弁当(人形町今半謹製)のご紹介」
          渡辺雅美(NPO食の安全と安心を科学する会 理事、栄養士)
          牧野太郎(旭松食品株式会社 大阪支店長 兼 業務用・医療用食材部 部長)

13:30~14:50     「高血圧予防のための減塩の重要性」
          安東克之(東京大学大学院医学系研究科分子循環代謝病学講座 特任准教授)

14:50~15:00     総評および閉会のあいさつ
          山崎 毅(NPO食の安全と安心を科学する会 理事長)


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□■ 食物アレルギーの発症リスク低減化対策とアレルゲン低減化食品の開発 □■

NPO法人 食の安全と安心を科学する会理事
京都大学名誉教授 小川 正

昨年末、東京の小学校で、乳製品アレルギーの児童が給食を食べた後アナフィラキシーショックを起こし死亡するという悲しい事故が発生しました。食生活における食物アレルギー患者さんのリスク回避対策の必要性が再認識され、さっそく自民・公明両党は「知識の普及や教職員の研修強化」を盛り込んだ「アレルギー疾患対策基本法案」の提出を表明しました。残念なことに、食物アレルギーに対する決定的な治療法は未だ確立されておらず、原因食品の除去指導や対処療法的な処置が実施されているのが現状です。患者さんのアレルギー食品の誤摂取による事故防止対策として、我が国では加工食品中のアレルギー食品(卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生の7品目)の表示を義務付けています。レストランや学校など不特定多数の喫食者に食事が提供される場においては、使用された当該アレルギー食品に関して献立・レシピ―などにより注意喚起することを基本としていますが、それでもアレルギー食品の卵・乳・小麦は形を変えてほとんどの調理・加工食品に利用されるため、調理器具や製造ラインを介して汚染・混入する恐れもあり、完璧なリスク回避は大変難しく、あくまでも自己防衛的に細心の注意を払うことが求められています。

患者さんの多くは複数食品で感作を受けているため、厳格な除去食の下で代替食品による栄養摂取基準(栄養素の必要量)を充足する献立作成は大変困難な作業であり、患者が安全で豊かな食生活を享受し、人生のQOLを確保するための試みとして、(1)健康増進法に基づいて病者用食品として認可された「アレルゲン除去食品」(ミルクアレルギー乳幼児用の育児用調製粉乳)など、(2-①)特定アレルギー食品不使用食品、即ち特定のアレルギー食品をまったく使用しない(含まない)加工食品、(2-②)アレルゲン低減化食品(その食品中のアレルゲン成分を除去あるいは低減化)、および(3)代替食品(いわゆるアレルギー対応食品:例えば、小麦アレルギー対応の米粉パン、大豆アレルギー対応のひえ味噌など)、などがあります。(2-①)や(3)はその包装にある一括表示により使用あるいは不使用のアレルギー食品を確認でき安全に摂取できます。(2-②)については、例えば大豆アレルギー患者用に開発した製品を参考に紹介します。まず大豆たんぱく質成分の何がアレルゲンとなっているかを患者さんの協力で徹底解析し、その主要アレルゲン成分を欠失した大豆をスクリーニング、育種によりさらにアレルギー発現リスクを低減化した品種(ゆめみのり・なごみまる:農水省・豆育研)を創出、改良した発酵法(低温熟成、酵素添加)にて他のアレルゲン(米麹中のアレルゲンなど)を徹底的に分解・消去したアレルゲン低減化味噌を製造しました。低アレルゲン化度は、医療機関の医師、患者さんの協力でチャレンジテスト(負荷試験)を行い、患者さんより通常の使用量では安全かつ有効であるとの評価を得て、医師の指導のもと患者さんに提供を開始しています。

味噌汁の具を求められる患者さんには、アレルギー発症リスクが最も低いねぎ・ワカメ(凍結乾燥)を添付している(写真A)。(3)としては、大豆のみを使用したクッキーを提供しています(写真B、大豆を摂取できる患者さんは多く、良質たんぱく質を摂取できる)。しかし、個々の患者さんによってアレルギーを惹起するアレルゲンの種類と量(閾値)が異なり、極微量でも発症する可能性があり(そばなど)、低減化は未だ試行錯誤の領域にあると言えます。また、これらの研究の過程で、発症したアレルギー臨床症状を緩和する食品成分(緑茶のカテキン類)の発見もあり、低アレルゲン食品の開発と相まって抗アレルギー食品の開発も期待されている。

本文中の図表につきましては、以下URLよりご確認ください。
http://www.nposfss.com/cat7/allergen.html


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□■ 人間のリスク回避性向は、局面によって変化する □■
東京大学特任准教授  古川雅一

次の問題を考えてみてください。

[問題①]あなたは、あるショッピングモールで行われているイベントに参加することになりました。そのイベントとは、まず賞金1万円が与えられ、次に箱A、箱Bのどちらか一方からクジを引く、というものです。箱A、箱Bの中に入っているクジの確率については図の箱に記載のとおりの違いがあり、また、クジは必ず1回引かなければなりません。さて、あなたは、どちらの箱からクジを引きますか?

[問題②]翌日、あなたは、別のショッピングモールで行われているイベントに参加することになりました。そのイベントとは、まず賞金3万円が与えられ、次に箱C、箱Dのどちらか一方からクジを引く、というものです。箱C、箱Dの中に入っているクジの確率については図の箱に記載のとおりの違いがあり、また、クジは必ず1回引かなければなりません。さて、あなたは、どちらの箱からクジを引きますか?

これらの問題は、人のリスクに対する回避性向を調べるために行われる調査実験の一例です。 まず、それぞれの箱からクジを引いた場合の期待値を確認しておきましょう。箱Aについては、2万円×0.25、すなわち5000円を最初に与えられた賞金1万円に加え、15000円となります。箱B、箱C、箱Dについても同じく期待値は15000円となり、すべての箱の期待値が同じになります。しかしながら、大規模調査の結果から、大多数の人が問題①では箱Bを、問題②では箱Cを選ぶということがわかっています。これは、人のリスクに対する回避性向が局面によって異なることを示しています。人は、問題①のような利得局面ではリスク回避性向が強く、箱Aを避けて箱Bを選ぶ傾向にあります。一方、問題②のような損失局面ではリスク回避性向が弱くリスク愛好的であり、箱Dよりも箱Cを選ぶ傾向にあります。
このような、リスクに対する態度が直面した状況によって逆転すること(鏡映効果)は、複数の商品の中から1つ選ぶときに受けた説明やそれに対する認識によって、選択行動が大きく変化することを示しています。食の安全性に関しても、その情報の伝え方や状況によって、人の意思決定が大きく変化すると考えられるのです。

本文中の図表につきましては、以下URLよりご確認ください。
http://www.nposfss.com/cat7/risk.html


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□■ NPO「食の安全と安心を科学する会の今後の活動予定および活動報告  □■
【今後の活動予定】
○2013年

当NPO主催 シンポジウム
食育シンポジウム 『減塩と健康』

日時:10月29日(火)11:00~15:00
場所:東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
   〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1

   http://www.a.u-tokyo.ac.jp/campus/overview.html
主催:NPO食の安全と安心を科学する会
後援・協賛(交渉中): 東京大学食の安全研究センター、旭松食品株式会社(ランチを提供)ほか
参加者: 栄養士、食品企業関係者、流通関係者、一般消費者(80名~90名を予定)

【活動報告】

○2013年
"農医連携プロジェクト"
『すごいぞ!農のちから、食のちから』(M2Labo主催、当NPO後援)
1/27(日)於 東大農学部中島董一郎記念ホール

シンポジウム『食の安全と安心フォーラムⅥ』(当NPO主催)
3/18(月) 於 東大農学部中島董一郎記念ホール

5/5(日)
当NPO主催「つながろう、福島 2013食育・食肉まつり」
http://www.nposfss.com/cat1/20130505npo.html

6/8(土)民法労連全国女性のつどい分科会
当NPO理事長の山崎毅 講演
詳細はこちら→ http://www.minpororen.jp/women/meeting/data/50_4.pdf

○2012年

1/29(日) 一般公開シンポジウム(当NPO主催)
「食の安全と安心フォーラムⅣ ~食の放射能汚染と健康影響について科学する~」

7/21(土)ふくしま再興フォーラム「明日を拓く」
「食の安全は守られているか」
  ~福島における安全確保の取り組み~

7/28(土)食の安全と安心フォーラムV
 「食育:食の安全性と機能性を正しく理解するために」
場所: 東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール
   (地下鉄東京メトロ南北線東大前 徒歩2分)
主催: NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)
後援: 東京大学食の安全研究センター

9/20(木)~21(金)
東京大学食の安全研究センター/神戸大学食の安全・安心科学センター共同開催フォーラム
「日本の食の安全を考える」
会場: 東京大学農学部弥生講堂・一条ホール
後援: NPO食の安全と安心を科学する会(SFSS)

10/4(木)
JRA被災地支援対策事業に関する調査研究発表会
会場: 東京大学弥生講堂・一条ホール 入場無料(定員:250名)
主催: 国立大学法人 東京大学大学院農学生命科学研究科 食の安全研究センター
    (財)全国競馬・畜産振興会
後援: NPO 食の安全と安心を科学する会

○2011年
4/11(月) 小座談会『食の安全と安心フォーラム』
シリーズ第1回 テーマ「飲食物の放射能汚染から考える食の安全と安心の
将来について」(於東大FS棟)

4/14(木) 同 シリーズ第2回(於SFSS関西事務所)

※今般の原発事故をうけて、緊急座談会『食の安全と安心フォーラム』を
4/11(東京)、4/14(大阪)で開催しました。

内容については、当NPOのホームページをご参照ください。
☆2011年5月2日 緊急座談会『食の安全と安心フォーラム第1回(4/11)』
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/05/1.html

また関係記事として、理事長雑感ブログもご参照ください。
☆2011年3月26日 飲食物の放射能汚染について(理事長雑感)
 http://nposfss-ty.blogspot.com/2011/03/blog-post_26.html

6/26(日)食の安全と安心フォーラム シリーズ第3回
 テーマ:昨今の食品問題から考える食の安全と安心の未来について
 http://nposfss-new.blogspot.com/2011/07/3.html

9/1(木)~2(金) シンポジウム「食の機能性・安全性、そして安心を科学する」(神戸大・東大共催)
   (於神戸市産業振興センター「ハーバーホール」)
  当NPOが後援し、山崎理事長が「食の安全と安心の最適化への取り組み」について講演しました。

内容については、当NPOのホームページをご参照ください。↓
 http://www.nposfss.com/cat9/1.html
  http://www.nposfss.com/cat1/4.html

○2010年
12/10(金) 東京大学大学院農学生命科学研究科フードサイエンス棟竣工記念
 関連サテライトシンポジウム
詳細はこちら→ http://www.nposfss.com/cat1/0.html

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【賛助会員】
 ・株式会社OSGコーポレーション
 ・メロディアン株式会社
 ・株式会社蓬莱
 ・旭松食品株式会社
 ・株式会社バイオサイエンス
 ・キユーピー株式会社
 ・株式会社ホワイトマックス
  ・カルビー株式会社
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【編集後記】
NPO食の安全と安心を科学する会のメールマガジン第16号はいかがでしたでしょうか?
ご意見・ご感想などございましたら、下記メールアドレスにお願い致します。

シンポジウム案内で紹介させていただきましたが、
今月の10月29日(火)は、東京大学農学部キャンパス中島董一郎記念ホールにて
当NPO主催シンポジウム 食育シンポジウム 『減塩と健康』が開催されます。

今回のシンポジウムでは、料理の鉄人のコメンテーターとして有名な、
服部幸應先生(学校法人服部学園 理事長、医学博士、健康大使)が
「食育:減塩の大切さ」を講演される予定です。
今回はどんな新しい話が聞けるか、今から楽しみです。
皆様も奮ってご参加ください。

当NPO食の安全と安心を科学する会の公式ホームページを随時更新しています。
今後も、当NPOの活動報告や予定等を積極的に公開していきますので、
ぜひ定期的にアクセスして内容をご確認ください。

皆様のお役に立つ情報公開を目指していきますので、
これからも何卒よろしくお願い申し上げます。

守山 治
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